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M-aid web版 Vol.20

平成23年度税制改正のポイント

既刊 M-aid web版 Vol.12 において平成23年度税制改正大綱に盛り込まれた項目についてご案内させていただきましたが、今回ようやく一定の法案につき可決・成立され、公布・施行となりました。


ただ、当初予定されていた税制抜本改革の一環をなす改正と国税通則法関係の改正については継続審議とされたため、当初の法案から分割された改正法案のみの施行となっております。


以下に今回確定された改正法案の内、より皆様に身近なものの内容項目を挙げさせて頂きます。

1、個人所得課税

年金所得者の申告手続きの簡素化

①平成23年分以後の所得税から、公的年金等(国民年金、厚生年金、企業年金など)の収入金額が400万円以下でかつ、当該年金以外の他の所得の金額が20万円以下の者について、確定申告不要制度が創設されます。例えば、年金所得者がパート勤務などをしていた場合には、年間のパート収入が85万円以下であり、公的年金等の収入が400万円以下であれば、確定申告の必要はないということです。


平成25年1月1日以後に支払われる公的年金等から、公的年金等に係る源泉徴収税額の計算について、控除対象とされる人的控除の範囲に寡婦(夫)控除が追加されるとともに、公的年金等の受給者の扶養親族等申請書の記載事項について、所要の整備が図られます。

申告義務のある者の還付申告書の提出期間の見直し

平成23年分所得税から、所得税の確定申告期間(その年の翌年2月16日から3月15日まで)について、申告義務のある者の還付申告書は、その年1月1日から提出できることとされますこれまでも医療費控除などの一般の還付申告は翌年1月1日から申告書の受付がなされていましたが、予定納税額に比べて確定税額のほうが少額になったために、結果的に税額が還付されるようなケースでは、申告書の提出期間は2月16日から3月15日までの通常の確定申告期間とされていました。今回の改正ではこのようなケースでも、1月1日から提出が認められることとなりました。

既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税の特別控除等の見直し

①既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除について次の見直しが行われたうえ、適用期限が2年延長されました。


イ、バリアフリー改修工事


改正前20万円とされていた税額控除額の上限額について平成23年分については20万円に据え置かれましたが平成24年分については15万円に減額されました。


ロ、省エネ改修工事


平成23年6月30日以後に増改築等に係る契約を締結する改修工事からは、税額控除額の計算の基礎となる省エネ改修工事費用の額について、補助金等の交付がある場合は、当該補助金等の額を控除した後の金額とされます。


ハ、耐震改修工事


適用対象となる地域の要件が廃止されるとともに平成23年6月30日以後に契約を締結する改修工事からは、税額控除の基礎となる耐震改修工事費用の額について、補助金等の交付がある場合は、当該補助金等の額を控除した後の金額とされます。


②住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除及び特定の増改築等に係る住宅借入等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額の特例について次の見直しが行われました。


イ、平成23年6月30日以後に契約を締結する工事からは、税額控除額の計算の基礎となる工事費用の額について、補助金等の交付がある場合は、当該補助金等の額を控除した後の金額とされます。


ロ、省エネ要件の緩和措置の適用期限2年延長されました。

2、資産課税

住宅取得等資金贈与の特例

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置及び住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例措置は、住宅を取得するための資金の贈与が適用対象となっており、土地を取得するための贈与は、建売住宅の取得などのように、住宅の取得とともに取得される場合のみが適用対象とされていました。今回の改正では、住宅の新築に先行してその敷地となる土地を取得するための資金の贈与を受けた場合にも適用が受けられることとされました。ただし、行取得した土地に資金の贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を新築して居住することが要件とされています。


この改正は平成23年1月1日以後の贈与から適用されます。






  (このコンテンツは、平成23年10月1日現在の法令・通達等により作成しています。)



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