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M-aid web版 Vol.55

消費税の軽減税率制度と区分記載請求書等保存方式について

和元年10月1日より、消費税率が8%(消費税 6.3%、地方消費税 1.7%)から 10%(標準税率 消費税 7.8%、地方消費税率 2.2%)に引き上げられ、それと同時に、一定の課税資産の譲渡等について、消費税の軽減税率制度が導入されます。

これにより、税率が複数になるため…
消費税の申告の際、仕入税額控除が認められる要件として、帳簿及び請求書等の保存方法が、現行の「請求書等保存方式」を基に、必要な記載項目を新たに追加した「区分請求書等保存方式」という保存方法に変わります。

軽減税率制度では、飲食料品と週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)の譲渡等について、8%(消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)の軽減税率が適用されます。

ここでいう「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)で、医薬品・医薬部外品・再生医療等製品を除き、食品衛生法に規定する添加物を含むものとされ、人の飲用又は食用に供されるものをいいます。

外食やケータリング等(老人ホームや学校等の特定の施設において行う一定の基準を満たす飲食料品の提供は除く)は、飲食料品を飲食させる「役務の提供」に該当するため、軽減税率の対象外(標準税率10%)となります。




※国税庁消費税軽減税率制度対応室 「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)」より抜粋



軽減税率の対象資産の譲渡等がある場合に、「区分記載請求書等保存方式」では、
①帳簿 及び ②請求書等 の記載について、以下の事項の記載が必要となります。



帳簿  

  1. 課税仕入れの相手方の氏名又は名称 
  2. 課税仕入れを行った年月日 
  3. 課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の物から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨
  4. 課税仕入れに係る支払対価の額

(下線部分が、「請求書等保存方式」の記載事項に追加された部分になります)


請求書等 

  1. 書類の作成者の氏名又は名称 
  2. 課税資産の譲渡等を行った年月日 
  3. 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨) 
  4. 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込価格) 
  5. 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

(下線部分が、「請求書等保存方式」の記載事項に追加された部分になります)



仕入先等から受け取った②請求書等に、軽減対象資産の譲渡等である旨等の記載が無かった場合は、受け取った側の事業者が、その取引の事実に基づき、その記載の無かった項目について追加記入して保存することで、仕入税額の控除を行うことが認められます。

ただし、追加記入できるのは、「軽減対象資産の譲渡等である旨」と、上記②請求書等の4の項目に限られます。

正しい申告を行うため、請求書等の保存や帳簿の記帳を、適正に行っていただきますよう準備をお願いいたします。


(このコンテンツは、令和1年9月30日現在の法令・通達等により作成しています。)