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M-aid web版 Vol.49

臨時的に支給する使用人賞与を未払計上した際の損金算入の時期について



最近は、事業の規模・業種・地域などの違いによって差はあるものの、業績が上向きな企業が以前と比べると多く見られるようになりました。
そして政府によって「所得拡大促進税制」(平成30年3月末までに開始する事業年度までの時限立法)が制定され、雇用者給与等を増やすことに対してのインセンティブが与えられていることもあり、企業の業績が向上したときには、臨時の決算賞与を支給して従業員に利益を還元する企業が多くあると思われます。

このように賞与を支給する場合に、資金繰り等のために一旦その賞与を未払金計上するなどして当期の経費に計上し、決算日を超えて翌期になってから実際に賞与を支給することがありますが、この未払賞与の損金算入時期(税務上の経費として認められる時期)には注意が必要です。

原則的には、賞与の損金算入時期は賞与の「支給日」ですので、実際に未払賞与を支払った翌事業年度が損金算入時期になりますから、税務上は未払計上した当事業年度の損金に算入されません。そしてそれに伴って、所得拡大促進税制を適用する際に計上する「当期の雇用者給与等支給額」からも除かれることになります。

しかしながら例外的に、以下の3つの要件をすべて満たせば、賞与の「支給日」が決算日を超えていても、賞与を未払計上した当事業年度において損金算入されます(法人税法施行令第72条の3の二)。


要件

その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知
  していること

①の通知をした金額を当該通知をしたすべての使用人に対し当該通知をした日の属す
  る事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていること

その支給額につき①の通知をした日の属する事業年度において損金経理していること


税務調査の際には、①の要件にある「通知」が行われた時期において、賞与の支給額が最終的に決定していたかどうかを確認することになりますので、それを証明するためには、従業員に賞与の額の「通知」を行った際の書面等を残すことが必要になると思われます。

また、会社の賃金規定等で、賞与は「支給日」に在職している従業員のみに支給するとしている場合に、その規定に則って計上される未払賞与は、賞与の未払金計上時期において最終的に賞与の金額が決定していることにはならないため、①の要件の「通知」に該当せず、未払計上した当事業年度の損金に算入されません。


以上のように、使用人に対する未払賞与が、未払金計上した事業年度の損金となるのは、あくまでも例外的な取り扱いとなりますので、決算賞与等を支給する際には、事前に税務処理を含めて対策を検討していただくことが必要だと思います。



(このコンテンツは、平成27年10月13日現在の法令・通達等により作成しています。)