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M-aid web版 Vol.26

消費税「95%ルール」の適用要件の見直しとは?


改正の概要

 仕入税額控除制度は、もともと消費税課税制度における税の累積を排除する観点から設けられた制度です。
そのため、仕入税額控除の対象となるのは課税売上げに対応する課税仕入れ等に係る消費税額のみというのが原則です。


しかし、事業者の事務負担等に配慮し、その課税期間における課税売上割合が95%以上である場合には、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税を課税売上げに対応するものかどうかの区分を行わないで、全額を仕入税額控除の対象とすることができるとされていました。
これがわゆる「95%ルール」というものです。


平成23年6月の消費税法の改正により、この「95%ルール」の適用を全ての事業者ではなく、事務負担に配慮する必要があると考えられる一定規模以下の事業者に限定することとされました
一定規模以下の事業者とは、その課税期間における課税売上高が5億円以下の事業者です。

これにより、その課税期間における課税売上高が5億円を超える事業者は課税売上割合が95%以上である場合であっても、平成24年4月1日以降開始する課税期間から個別対応方式一括比例配分方式いずれかの方法により仕入控除税額の計算を行わなければならなくなりました。



5億円の判定とは

 その課税期間における課税売上高が5億円を超えるか否かは、1年間の課税売上高によって判定します。
このため、その課税期間が1年に満たない場合には、その1年に満たない課税期間における課税売上高を1年間の課税売上高年換算して判定することになります。
またこの判定は「基準期間における課税売上高」により判定するのではなく、あくまでその仕入控除税額を計算する対象期間となるその課税期間における課税売上高により判定します。

個別対応方式か一括比例配分方式の選択

 個別対応方式は、その課税期間における個々の課税仕入れ等の全てについて必ず①課税売上対応分②非課税売上対応分③共通対応分の3区分に区分する必要があります。
この用途区分は取引ごとに行う必要があり、課税仕入れ等の中から課税売上対応のみを抽出して残りを全て共通対応として区分するということは認められていません。



一括比例配分方式は、個別対応方式を適用しない場合やその課税期間の課税仕入れ等を3区分に区分していない場合にも適用できる計算方法です。
どちらの方法を選択するかは各事業者の判断に委ねられていますが、一括比例配分方式を適用した場合は原則として2年間継続して適用することが要件となります。



非課税売上が預金利子しかない場合

 例えば、非課税売上が預金利子しかないような事業者の場合、これまではおそらく課税売上割合が95%以上となり課税仕入れ等に係る消費税額の全額を仕入税額控除の対象とされてきたと思います。
また通常、預金利子を得るためにのみ必要な課税仕入れ等はないことから、その課税期間における課税仕入れ等の全てを課税売上対応分として区分して問題ないと考えるのではないでしょうか。

しかし税務署の見解として預金利子が発生している場合、課税売上対応分として特定されない総務、経理部門等における事務費等の課税仕入れ等については共通対応分として区分すると示されています。
預金利子は預金利子を得るためにのみ必要となる課税仕入れ等はなくとも、事業者の事業活動に伴い発生し、事業者に帰属するものであることからしても、事務費など、課税売上対応分として特定されない課税仕入れ等が必要であると理解されていると思われます。

このように、この預金利子しか非課税売上がないような事業者であってもその課税期間における課税売上高が5億円を超える事業者が、個別対応方式を選択する場合には、個々の課税仕入れ等を区分しておく必要があります。


また5億円を超えるか否かの判定その課税期間の課税売上高となりますので、過年度の課税売上高が5億円を超えるか超えないか微妙であるような事業者も事前に準備をしておく方が賢明だと思われます。



国税庁のHPに、この「95%ルール」の適用要件の見直しに伴って従来からの仕入税額控除額の計算方法などに関する基本的な考え方や具体的事例がQ&A方式で紹介されています。

一度、確認されることをお勧め致します。

LinkIcon国税庁HP 消費税仕入れ税額控除における「95%ルール」の適用要件見直しについて

(このコンテンツは、平成24年5月1日現在の法令・通達等により作成しています。)

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