Everybody Genius【経営者はみんな天才!】

中西 浩一 様
株式会社オンリー 代表取締役会長
事業内容:自社プライベートの企画・制作・販売
     紳士・婦人服・雑貨の販売
http://www.only.co.jp/

東証第一部 2016年8月10日 上場

株式会社オンリーの中西浩一会長にお話を伺いました。自社でスーツの企画・制作・販売を手掛けておられます。
平成17年7月には大阪証券取引所に上場されました。「INHALE + EXHALE」や「The@SUPER SUITS STORE」という販売店を全国展開されています。業界に新しい風を常に吹かせ続けていることの背景についてお聞きしました。


森川:この仕事はどういうきっかけで始められたのですか?

中西会長:もともと父親が家で注文を受けて作っていたのですよ。小さい頃からその姿を見ていて。10代後半頃、早く一人前になりたい。と思っていて、それなら父親のやっていること・・・と思って5年間修行に行ったんですよ。その後、個人で開業して毎日生地を持って売りに歩いたりしてたんですけど、昭和57年に、京都の北山で「株式会社 オンリー」という名前でスタートを切りました。「オンリー」という名前の由来も唯一のもの、一点ものという価値観を表現するために社名としました。

森川:そうだったんですか。「オンリー」という社名は、業界でOne and Only という感覚で思っていたのですが、お客様とのやりとりがオンリーワンだということだったのですね。

中西会長:そうなんです。洋服そのものがオーダーだったので、“あなたのために作ります”という意味も込めていました。

森川:オンリーさんは、19ショップやツープライスなんかの先駆けですし。市場に対してどんどん新しい発想でいろいろ仕掛けられているなぁ。と感じていたのですが、そういう発想というものはどういうところから出てくるものなんですか?

中西会長:特異な才能や、発想を持っているわけではなく、僕の場合は北山通りという田んぼばかりで人がほとんど通らない場所から始めたので、とにかく何かを仕掛けていかないと商品が売れないというか、仕掛けないことには絶対に人には来てもらえないということを2~30年間やってきただけなんです。ある一面では次々と新しいものを作っていかないと心配で仕方なかったんですよ。外から見ると何か仕掛けてるやろうという風に思われるのですけどね。

森川:すごく商売を楽しんでいらっしゃるんですね。本田静六さんの名著に“職業の道楽化”という話があるのですが、まさにそういう感じですよね。でも、そういうのはすごいエネルギーの源だと思いますよ。

中西会長:そうなんですよね。あんまり順調にものごとがいっているときは全然パワーを感じないんですけど、悪い時や何かを生み出している時はものすごいパワーを感じるんですよ。難儀な性分ですわ。経営者というのは、ものすごくおおざっぱなところと、非常に気の小さいところの両面を持ち合わせていると思っています。まぁ、その気の小さいところが次の開発につながっていったという結果となったのが良かったんじゃないですかね。

森川:私もいろんな経営者の方々とお付き合いをさせていただいておりますが、根底には恐れというか、そういう部分がどこかにあってやられているな、というのがすごく見え隠れしますね。

中西会長:1番怖いタイプは、その怖さを知らない人ですよね。

森川:確かに、おっしゃる通りですね。会長さんの今までのご自身の生き様を含めまして、これはついていたなという風なものはありましたか。

中西会長:ついていたことと言うか、勢いのある時がありましたがその反面、こんなことは続かないって思っていたので、次のことをやっておかないとという思いはありました。そんなうまくいくはずがないというのが、商売のおもしろさですよ(笑)

森川:なるほど・・・これからオンリーさんの株式も公開されて、ブランドというものが良い意味でも悪い意味でも自分の意志とは違うところでどんどん一人歩きしていくことになると思います。何年か前に会長さんがおっしゃっていた言葉で、大手がすぐに真似しますでしょ。と聞かれて、「いくらでも真似してくれていい。別にかまへん」とおしゃっていたのがすごく印象に残っているのですが。

中西会長:ものを開発して特許をとって囲い込んで儲けようとすることは、本質ではないような気がするんです。小売業の業態開発というものは、研究開発費に何十億、何百億もかけてやったものではないですから。思いつきみたいなものだから金にならないものやと思ってます。それに、ブランドでもよく言いますけど、偽物が出てきて初めて一流やって。(笑)

森川:これから若い経営者の方々がまだまだ出てこられてくると思いますが、そんな経営者の方々に対して何かメッセージをお願いします。

中西会長:若い人の力は無限です。
経営者の立場では、自分がこうだと決めたことはやれる立場ですからどんどんいろんなことをやって、経験を積んでいっていただきたいですね。何事も『やってみないとわからん』ですから。
やったことについてくる結果が、成功でも失敗でも両方ともやられたことは大成功だと思います。それが後でものすごいパワーとなりますから。

森川:『やってみないとわからん』そうですね。チャレンジすることが次のステップにつながりますから。会長さんのように恐れないで楽しみながらいろいろなことにチャレンジすることが、成功に近づくことでもあるのだと思います。