Everybody Genius【経営者はみんな天才!】



安田 仁志様
桃陽電線株式会社 代表取締役

事業内容:エアコン設置部材の製造・販売
       弱電・強電・通信用電線類の販売
       塩ビ管、塩ビ絶縁テープなどの販売
       海外事業
http://www.toyo-densen.co.jp/

今回は、森川コンサルティンググループと40年以上お付き合いをいただいております、
桃陽電線株式会社 安田社長にお話をお伺いしました。



森川以下:M):「空調関連部材の総合メーカー」として、全国展開されていますが、
「桃陽電線株式会社」の社名の由来とこれまでの経緯を教えて下さい。


安田以下:Y):もともと桃陽電線という親が残してくれた会社でして、昭和28年株式会社に変組し、名前の通り電線の販売をしていましたが、電線には、電気が通る安全性、耐久性の観点から形状、厚さ、太さ、等、当時通産省による各種の規制に統制されていましたので、大企業の製品も、小企業の製品も、ほぼ検査に合格したもののみ、流通していました。


当然、各種ある電線に、個別のオリジナリティーを挿入する余地などなく、どちらかというと、価格とブランド名、メーカー名が取引上の決定要因になることが多かった様です。
お客様との取引は、この様な状況では必需品であるに拘らず、なかなか安定するものではありませんでした。
取引関係が出来れば壊れるという、繰り返しのビジネスではありました。
この様な電線の商いは大変難しく、将来を見据えた時、ビジネスの中に自社の発想を入れていくものが少ないと感じ、会社の方向を徐々にではあっても考えていくべきものと思いました。

幸いにして電線は文字通り電気を運ぶ線であり、色々な業界に進出出来るきっかけになると感じることがあり、
例えば、家電品、自動車、電波、機械工具、照明器具、音声、等の業界を理解し、何かと接触出来る良い機会を得られるのではないかと思うようになりました。


まず、手近なところから、テレビアンテナの部品供給に着手しました。水道工事や電気工事に使用されていたグレーのパイプに色彩をつけることを思いつき半透明がかった黄色や赤、橙色、等の塩ビパイプを定寸の長さ(約1m)に切断の上、横方向から穴を空けアンテナの素子を取り込む材料にしたものです。




これは、カラーテレビ普及に助けられ、性能的には一般アンテナと大きな差はなかったのにカラーテレビというイメージにより、これでないとカラーテレビに色がつかないという様な錯覚、或いはカラーテレビがありますよという見栄も手伝い(そういう時代だった)随分たくさん販売することが出来ました。


テレビアンテナの素材を取り扱った関連から丁度NHKが助成金を出して山間部の難視聴地域に共同受信を可能にする対策を実施していましたのに乗じ、山頂に高性能のアンテナを設置し、数Km離れた村落等に受信出来る様な設備(電線、電波増幅用アンプ、電波の分岐器、分配器又は電源設備等)の取り扱いを始めました。




地元大阪では余り大きな仕事は出て来ず(生駒山頂等、電波送信所が比較的近くにあり強電波の受信が可能なため)、
主に奈良、和歌山、京都、滋賀、兵庫、岡山、三重、愛知 等の他府県の山間部が主戦場となっていましたし、
電線販売の当社としては、必要資材が次々と増加していくことで、お客様との接点も幅広く且つ親密になってきたものでした。


業務の盛衰は本当に山あれば谷ありと言いますが、その都度どう変化していくのがいいのか、真剣に考えることが大切と思います。世の中も刻々と進化し変化していきます。

上記に述べました受信設備の取扱いも山から谷にさしかかる時が来たのでした。
助成金の支給は設置には大変役立っていましたが、工事の施工をNHKは山間地方の家電店に任せていましたが、メンテナンスの費用は地元が負う事で資金不足となっていました。
それにつけても、風雨に電柱が倒れたり、樹木が電線にからみついたり、強風のため切断することも発生し、画像が悪い、テレビが見えない等、NHKに対するクレームを引き起こすこととなってしまったのです。
遂に助成金制度はなくなり、現場の自費負担工事、或いはNHKの全面負担設備を借用することとなってしまいました。当然、私共にとっては当仕事量は激減してしまいました。


幸いにして当社の事業が家電関係の商圏の一端にあったこともあって、空調機の設置工事に必要な機材を取扱うこととなりました。この工事資材は元々当社の本職であった電線の素材と同類のものを主原料としていましたので、大いにその知識等を利用し、且つ参入する同業者も少ないこともあって順調な滑り出しでありました。


唯一同じ銅を使用するものでも、線と管との物性や取扱いが異なり、又、結露を防ぐための材料も、ゴム製、発泡樹脂等の品質や製造工程の違いなどもあって随分、試行錯誤を繰り返したものでした。
又、工事現場で使用される附属工事資材のパテ、テープやプラスチック成形品等、次々と金型を製作、購入し自社ブランド商品を製作、市場に提供して来ました。
遂に電線取り扱い専門の世界から一歩飛び出る事になりました。


M:経済環境が非常に厳しい中で、今後ビジネスの展開をどのようにお考えですか。




Y:優勝劣敗の昨今、経済環境が非常に厳しい中で生き抜く為には色々な可能性を追求し、具体的な行動を即実行していくことが肝要であり大切だと思って来ました。


弊社をとりまく環境も本当に厳しいところにあります。 単純な景気循環の世界ではなく根底から見直して行くべき大変動が起きているように思います。
世界の価値基準、ドル通貨が揺れ動き貨幣経済が定まらず資源獲得合戦が世界規模で行われ何もかもが過去の例も参考にならないところに来ています。


100年来の世界的不況が来たと言われる昨今、新聞紙上で、有名な会社であっても、決算赤字を競うが如く報道されています。 私共も、今後各種の情報を受け入れ、今迄の経営が良かったのか、どこに着目していけばより良い結果が求められるのか、色々と考えることが大切だと思っています。
今迄の販売マーケットはどうか、製造、在庫の程度は良いのか、輸送費と規模は適切か、仕入商品の質と価格の見直し、
など色々な難題とぶつかり合いながら、それを乗り越えようとする将来になると考えます。
更に、重要視すべき事は、諸外国企業との付き合いだろうと思います。
考え方の違いを理解し、商習慣の違い、使用通貨や価値判断等の違いを理解し、相互に連繋関係を構築していくことが、この世界的落ち込みや経済の革命から脱出出来る一つの方法かと考えます。
要は出来る限り考え、出来る限り速く行動していくことが肝要と思います。