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M-aid web版 Vol.33

国外財産調書制度の創設(平成24年度税制改正)

背景

国外財産に係る所得や相続財産の申告漏れについては、近年増加傾向にあり、国外財産に関する課税の適正化は喫緊の課題です。

趣旨

国外財産の把握体制が十分でない中、内国税の適正な課税及び徴収に資するため、一定額(5,000万円)を超える国外財産を保有する個人(居住者)に対し、その保有する国外財産に係る調書の提出を求める制(国外財産調書制度)が創設されました。
現在でも所得金額が2000万円超える者には「財産債務の明細書」や国外送金等調書制度等があり、個人の国内外財産の把握に努めていますが、より一層強化されるかたちとなります。

概要

その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産(注)を有する方は、その財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書(以下「国外財産調書」といいます。)を、翌年の3月15日までに、所轄税務署長に提出しなければならないこととされました。
(注)「国外財産」とは、「国外にある財産をいう」こととされています。ここでいう「国外にある」かどうかの判定については、財産の種類ごとに行うこととされ、例えば次のように、その財産自体の所在、その財産の受入れをした営業所又は事業所の所在、その財産の発行者等の所在などによることとされています。

(例)

  • 「動産又は不動産」は、その動産又は不動産の所在
  • 「預金、貯金又は積金」は、その預金、貯金又は積金の受入れをした営業所又は事業所の所在
  • 「社債又は株式」は、その社債又は株式の発行法人の本店又は主たる事務所の所在

〔平成26年1月1日以後に提出すべき国外財産調書について適用します。
※罰則については、平成27年1月1日以後に提出すべき国外財産調書について適用します。〕

財務省資料

過少申告加算税等の特例

●国外財産に関する所得等の申告漏れが発覚した場合において、

① 国外財産調書に国外財産の記載がある部分については、過少(無)申告加算税を5%軽減します。(所得税・相続税)【優遇措置】
② 国外財産調書の不提出・記載不備に係る部分については、過少(無)申告加算税を5%加重します。(所得税)

【加罰措置】
(注)故意の調書不提出・虚偽記載についての罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)を整備します(併せて情状免除規定を設けます)。


上記のように「国外財産調書」にはペナルティがあります。ここが従来の各制度との大きな違いです。
ちなみに、法施行後の最初の国外財産調書は、平成25年12月31日における国外財産の保有状況を記載して、平成26年3月17日までに提出することになります。
また、「財産債務明細書」を提出する者に「国外財産調書」制度の適用がある場合には、「財産債務明細書」に国外財産に関する事項を記載することを省略できることとされています。



(このコンテンツは、平成25年1月1日現在の法令・通達等により作成しています。)